元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンは、ロータス・ルノーGPのチーム首脳陣によるある種の“いじめ”を疑っている。
かつて自身の手でF1チームを立ち上げてそのオーナー兼チーム代表の座にあった経験を持つジョーダンは、現在イギリスのテレビ局で解説者を務めている。ロータス・ルノーGPチーム内で“いじめ”をしているとジョーダンが名指ししたのは、チーム代表兼マネジングディレクターのエリック・ブーリエと、チームのオーナー企業ジェニイ・キャピタルの共同創設者であり、代表者も務めるチーム会長ジェラルド・ロペスだ。
そして、チーム内権力者のツートップにいじめられているとされたのは、ドライバーのニック・ハイドフェルド。ブーリエとロペスは最近、ハイドフェルドが満足な結果を出していないばかりか、チーム内でリーダーシップも発揮していないと嘆くコメントを残していた。
ハイドフェルドはF1での12年目となる今季、契約交渉に出遅れて所属先がなかなか決まらず、結局は開幕直前に大ケガを負ったロバート・クビサの代役という形でようやくロータス・ルノーGPとの契約にこぎつけた。
チームとハイドフェルドは互いに窮地を救った仲とも言えるはずだが、ハイドフェルドに代えてテストドライバーのブルーノ・セナあるいはロメ・グロジャンを走らせる構想があると言われている。ブルーノ・セナはかの有名なアイルトン・セナの甥である。
ジョーダンは『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』紙に対し、ハイドフェルドが受けているプレッシャーについて語った。
「いじめと呼んでもいいようなものだ」
「チーム側は徐々にハイドフェルドを追い込んで、自分から辞めるように仕向けているのではないか」
数百億円を動かすF1チームの首脳陣が一般企業の社内いじめのようなことをしているとは情けない話だが、ジョーダンはハイドフェルドの働きを高く評価している。
「私にとって、ハイドフェルドはミスター安定性だ。ハイドフェルドは私のチームで1年間走っていたから分かる。ハイドフェルドがいた2004年はチームが資金難だったので、彼に見合うようなクルマを用意してあげることができなかった」
「ロータス・ルノーGPが現在置かれている状況もあの時と同じだよ」とジョーダンは語り、成績が振るわないのはチームが用意したクルマに原因があり、ハイドフェルドの力不足ではないとの見方を示している。