数年前に発覚したF1のスパイ事件、通称「スパイゲート」の中心人物であるマイク・コフランが、6月にウィリアムズへ加入し、F1に復帰する。ウィリアムズが3日(火)に発表した。
スパイゲートは、2007年に発覚したスパイ事件。当時マクラーレンでチーフデザイナーを務めていたコフランが、フェラーリのF1マシンに関する機密情報が含まれた大量の書類を所持していることが明らかになった。これは、当時フェラーリのスタッフだったナイジェル・ステップニーが提供したものだとされている。
この事件により、コフランはマクラーレンを解雇され、国際レースへ関与することを2年間禁止された。その後コフランは、軍事車両の開発に従事し、最近はアメリカの人気カテゴリーNASCARのマイケル・ウォルトリップ・レーシングに所属していたが、6月からはウィリアムズが新しい職場となる。
ウィリアムズはこの発表の直前に、技術責任者サム・マイケルと空力責任者ジョン・トムリンソンが今年いっぱいで離職すると発表したばかり。コフランは、チーフエンジニアとしてウィリアムズへ加入する。
ウィリアムズのチーム代表フランク・ウィリアムズは、こう語った。
「マイク・コフランは、F1や民間、軍事両面のエンジニアリングで幅広い経験を持つ優秀なエンジニアだ。彼は2007年、自身も過ちであると認め、大いに後悔している行為のためF1を去った。2年間の追放処分は先日に終わっており、マイクは再び自身の才能を証明する決意を固めた」
「ウィリアムズとしては、彼にチャンスを与えることができ喜んでいる。そして、F1でも屈指の才能がある優秀なエンジニアが、われわれの上位復帰を手助けしてくれることをうれしく思う。これは、技術部門の再建と強化の第一歩だ。今後のステップについても、進展があり次第、発表する」
一方、F1復帰が決まったコフランは、次のように話している。
「このチャンスをくれたウィリアムズに感謝している。2007年の経験で、私の人生は変わった。あれ以来、私は自分の技術を活用するため、兵士を安全に輸送することを目的にしたオセロット(装甲車両)の開発に携わった。また、マイケル・ウォルトリップ・レーシングでも楽しいときを過ごすことができた。彼らは素晴らしいレーシングチームであり、今後の彼らの幸運を願っている」
「今は、私が愛するスポーツへの復帰を楽しみにしており、何年もの間にわたって敬愛してきたチームへ加わることを心待ちにしている。以前からウィリアムズが体現してきた倫理基準を尊重しながら、チームの競争力回復に自分自身をささげるつもりだ」