マネジャーであるウィリ・ウェバーが強く示唆したもの。
「何なら一年、休もうかとも考えたんだ」と、ウェバーは打ち明ける。
豊かな資金力を持つパストール・マルドナードを選んだウィリアムズに解雇されたヒュルケンベルグ。以来、ウェバーはドイツの若き俊英のためにレースシートを求めて東奔西走している。
「今の世の中、存在が忘れ去られるのはアッという間だ。であれば、ニコに良いチームをつかせ、せめて金曜だけでも走る方が良いと思う。それが彼にとって最良の選択肢だ」
今、しきりにうわさされているのはフォース・インディアである。金曜日のフリー走行に出走するドライバーとして起用された場合、正規ドライバー就任が有力視されているエイドリアン・スーティルとポール・ディ・レスタは交代で午前のフリー走行を休むことになる。
ウェバーは『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌にこう話す。「正式な発表があるまで、私の口からは何も言えないよ」
ヒスパニア・レーシングには空席のレースシートが残っている。だが、ヴァージンからも何らかのオファーがあったようだ。ウェバーは、可能な選択肢の中でフォース・インディアがベストだと、次のように示唆する。
「既にF1で一年のレース経験を持つニコのようなドライバーにとって、小チームで学べることは多くない。ヴァージンからのオファーは非常に喜ばしいが、あのチームには既に、もう一人のドイツ人であるティモ・グロックがいる。彼はある程度の時間をチームで過ごしているし、リスクが高すぎるよ」
ウェバーにとっては、スポンサー資金持ち込みでF1シートを獲得する「ペイドライバー」の存在も悩みのタネだ。
「F1は、14人のまともなドライバーに10人のペイドライバーといった階級分けをされないよう、注意すべきだね。だから私は、ニコのためにシートに金を払うようなまねはしない。一度手を染めたら、常に持参金が必要になってしまう。次も、またその次もね。そんなイメージはすぐさま定着するよ。売り込むのはむしろ、ドライバーの腕にしたいね。この子(ヒュルケンベルグ)は、金を払って乗る程度のドライバーとはモノが違う」